東京オリンピック期間中さまざまな競技を観戦しながら浮かんだ言葉を書にし
五輪連載企画「熱戦の書」としてその思いを綴らせていただきました。
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第5回「継ぐ」
2008年の北京オリンピックのとき、人生に悩んでいた私は上野さんをはじめとするソフトチームの活躍に大きく勇気づけられた記憶がある。
優勝の瞬間、チームメートに担がれる上野さんの満面の笑みを見て、諦めずに戦い抜く姿に奮い立たされた。あのとき、五輪でのソフトボールの試合は最後といわれた。
燃え尽きたときもあるだろう。何のために努力し続けるのか迷ったこともあるだろう。それでも彼女たちは12年と1年待ち続けた。そして迎えたこの東京は、全てを懸けるに値する舞台なのだ。
決勝の相手は北京と同じ、宿命のライバル米国との真っ向勝負。敵も味方もなく、同じ気持ちで13年間を過ごした選手たちは死力を尽くした。
「継」という字は「断ち切った糸を改めてつなぐ」からきている。次回のオリンピックでこの競技はないともいわれる。でもまたいつか、この糸を継ぐ者たちが私たちを勇気づけてくれるだろう。
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協力:共同通信