東京オリンピック期間中さまざまな競技を観戦しながら浮かんだ言葉を書にし
五輪連載企画「熱戦の書」としてその思いを綴らせていただきました。
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第3回「明日へ」
彼女を初めて目にしたとき、そのはつらつとした若さ、圧倒的な強さに希望の光を見た。その後の活躍は言うまでもない。間違いなく東京の星になると思った。
彼女の病の事を知ったときには言葉を失った。そして神に問いかけた。
この無垢な若者になぜこのような試練を与えるのか? 夢をつかむあとほんの少しのところで、途方もなく大きなものを背負わせるのか?
でも、夢の懸け橋は崩れていなかった。自身のたゆまぬ努力でその道を進む切符を手に入れた。
今回、彼女の勝利はレースの勝敗でも表彰台に上ることでもない。彼女に希望を託した人々の思いの大きさが彼女のメダルだと思う。
大会前の彼女の言葉「五輪は私に与えられた使命」。レース後に闘病生活を聞かれた彼女の言葉「もう忘れてました。完全に」。
池江璃花子さん、私はあなたの明日のためにこの字を書く。
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協力:共同通信